EBUSガイド下リンパ節内鉗子生検(EBUS-IFB)[EBUS-TBNAへの追加効果]
EBUSガイド下リンパ節内鉗子生検(EBUS-IFB)はこれまでに報告が蓄積しています.最近出たCoreDXに関連して始まった手技ではないです.
EBUS-TBNAで検体量が少ないというのであれば,生検鉗子をつっこんで採取してしまおうという発想.手技自体はこの動画を見た方がイメージがつきやすいかも.
今回は,そのMeta-analysisです.
Ann Thorac Surg. 2021 Jan 21;S0003-4975(21)00103-X. doi:10.1016/j.athoracsur.2020.12.049. Online ahead of print.
Combined EBUS-IFB and EBUS-TBNA vs EBUS-TBNA alone for intrathoracic adenopathy: A Meta-analysis
最終的に6つのStudyだけ採用して解析しています.
診断率の比較(EBUS-TBNA VS EBUS-TBNA+EBUS-IFB)
サルコイドーシス: 58% (93-161) VS 93% (150/161), P<0.00001
リンパ腫: 30% (15/50) VS 86% (43/50), P=0.003
全体: 67% (312/467) VS 92% (428/467), P<0.00001
結論として,EBUS-IFBの追加が,サルコイドーシス,リンパ腫の診断を向上させる.合併症については,1%で縦隔気腫,0.8%で出血が認められた.
これまでにEBUS-IFBのメタ解析はなかったと思うので,エビデンスがそれなりに揃ってきたということになります.特にリンパ腫の診断ではその効果を大きく発揮するものと思います.サルコイドーシスについては,EBUS-TBNA単独群の診断率が低いなという印象です.
注意しなければいけないのは,論文内でLimitationに書かれているように,IFBに用いる生検鉗子のサイズは統一されていないということです.また,追加で採取するのだから,診断率は向上する方向に働くのは当然で,採取回数やリンパ節のサイズなどもある程度そろえないと単純に解釈はできません.
もし試験を組むなら,前向きで,使用デバイスを揃えて,EBUS-TBNA単独 VS EBUS-IFB単独 でやるか,EBUS-TBNA+EBUS-TBNA VS EBUS-TBNA +EBUS-IFBで施行回数を統一するかかなと思います.
いずれにしてもIFBはそれなりに技術を要します.技術的に卓越した施設で行われる手技だと思います.特に粘膜に穴をあける位置の決定や,穴をあけた後の鉗子の力の加え方は,間違えると血管を傷つけてしまう可能性もあります.今回のメタ解析の合併症は技術的に卓越した施設からの報告をまとめた数字(低いということ)であることを含めて考えた方がよいでしょう.
このEBUS-IFBの手技がもっと広がるかどうかは未知数ですが.リンパ腫診断のためのオプションとして頭には入れておいた方がよさそうです.
新しい明日へ!