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肺野結節マーキングとしてのAugmented fluoroscopy [臨床に即した工夫]

以前にもAugmented fluoroscopyについては触れたが,

reviewer2.hatenablog.com

 

今回の論文は,肺野末梢結節手術のためのマーキング技術としてAugmented fluoroscopyを使用したもの.

論文の内容そのものに新規性は少ないものの,臨床の場面でどういった工夫がなされ,その施設でどのような紆余曲折を経て,技術を習得,安定化させていったのかがよくわかるような内容である.

この種の論文は非常に参考になる.実際にどのくらい手技に時間がかかって,どれくらいの不成功例があるのか,など.その施設のDrに尋ねたいことを惜しげもなく載せている.

例えば,

「被ばく量を考慮して,16例目からSmall sizeのField of viewのDynaCT scanに変更した.23例目からは散布色素に造影剤を混ぜて使用した.65例目からは仰臥位ではなく側臥位での手技に変更した.」など,論文に必ずしも載せなくてもよい工夫が書いてある.こういう情報は臨床医にとっては非常に参考になる情報で,どうして仰臥位よりも側臥位がよいのか,について考えるきっかけになる.(実際に側臥位にした方がよい根拠論文も引用している).

施行した100症例をしっかりとSummarizeしたのは素晴らしいし,手技が安定してきた実際の臨床に即したデータを知れるのがよい.色素散布手技のみに限っては気管支鏡施行時間が平均8.3分.案外早いんだなという印象.

肺結節のマーキングは,位置だけ特定してその近辺に色素やマーカーを置いてくればよい,という単純なものではない.この論文の中で触れている通り,素直に枝が到達する結節ばかりではなく,そのような場合には,結節を囲んだ形でマーキングしなくてはならないし,色素とコイル留置を組み合わせて,場所を立体的に把握する工夫もしている.

VAL-MAPを施行している施設も増えてきているとは聞くが,マーキングをより正確に,安全に,早く施行するための補助技術はまだまだ出てくるものと思われる.

 

 

 

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新しい明日へ!