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呼吸器インターベンション,Interventional pulmonologyのニュース,考察を配信します.肺の病気に対する安全で正しい診断,および非薬物治療のニュースです.

Metered cryospray [COPDのインターベンションとなりえるか]

COPDの薬剤抵抗性の患者さんは世界にたくさんいます.

そのニーズにあわせてCOPDに対するインターベンションがどんどん出てきています.

Metered cryospray

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Eur Respir Rev. 2021 Jan 19;30(159):200281. doi: 10.1183/16000617.0281-2020. より引用

今までの残気量を減らすというアプローチ(バルブ,コイル)ではなく,気管支粘膜に直接働きかけるタイプのもの.Targeted lung denervationは神経を焼くというコンセプトでしたが,こちらは凍結させて粘膜細胞を一掃するというもの.

使うのは液体窒素(LN2)です.決められた量のLN2がスプレー状に散布されるデバイスでGoblet cellを中心とした粘液分泌性の細胞の増生をリセットして,正常粘膜細胞に置き換えるというコンセプトと言われています.

効果,コンセプトはさておき,そんなことして大丈夫なのか?という安全性に主眼をおいたStudyが以下.

Eur Respir J. 2020 Dec 17;56(6):2000556. doi: 10.1183/13993003.00556-2020. 
A prospective safety and feasibility study of metered cryospray for patients with chronic bronchitis in COPD

 

前向きオープンラベル試験.計35例に施行.

施行後12か月間で,11例で14のSeriousな有害事象が生じ,COPD急性増悪x6,肺炎x2を含む,のべ9回の呼吸器関連有害事象.手技そのものに関連したSeriousな有害事象はなかったとされる.

効果については,施行後3か月時点でSGRQ(-6.4),CAT(-3.8),LCQ(21.6)と有意に改善を認めた.

 

今後,Sham群をコントロールとした前向き試験の結果を待つことになると思いますが,Double blindにできないところはLimitationになるでしょう.

またもちろん考察でも触れられていますが,その効果の持続期間が議論のひとつになるでしょう.3回にわけて施行するそれなりに医療資源もつぎ込む治療ですので,数か月でもとに戻る,というのでは患者さんにもなかなか勧められないでしょう.

 

 

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新しい明日へ!